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強い組織の「隠れキーマン」について

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経営者の中にはプロダクト思考の人や、ファイナンス思考の人など
色んなタイプがいるが、僕は圧倒的に「組織思考」の経営者だ。

美しいとさえ表現できるほどの組織/カルチャーを創る事が
何よりクリエイティブだと思っている。

そんな組織オタクの僕が、
今までリクルート、トレンダーズ、LiBと
自分でも3つの会社を渡り歩き、

一方で、自社内のみならず
営業としてクライアント組織を見たり
経営者としても勉強がてら沢山の組織をみてきた中で
強い組織には共通して「ある存在」が居る事に気がついた。

そんな話。

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乱暴に分けると、組織には
「①決めるコトに責任を持つ人」
「②実行に責任を持つ人」がいる。
(小規模組織の場合、それを兼務しているケースが多い)

①の「決めるコトに責任を持つ人」というのは
いわゆる役員や、事業責任者、マネージャーといった人たちだ。

具体的には
・会社や事業の方向性
・効率よく勝つための戦略・戦術・兵站の立案
・その実行に向けたメンバーミッション設定と、評価

あたりを決めるのが仕事。

この部分のセンスが悪いと
「全員で非効率な事を一生懸命がんばる」みたいな
まさにザルで水をすくう残念な状態になるので
「決めるコト」が重要である事には疑いの余地もない訳ですが

僕は、本当に強い組織というのは
②の「実行する人」にキーマンがいるかどうかだと思っています。


どれだけ筋の良い戦略を描いても
実行されなければ意味がないし、
素晴らしい戦略にも必ず修正は必要となります。

必ず修正が必要になるのであれば、
ある程度、粗い戦略でも「実行」する中で
磨いて行ける組織の方がよっぽど強いです。

今日は、そんな強い組織を創りだす
陰のキーマンの存在について言語化したい。

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世に溢れる成功事例や、書籍、インタビューなんかを見ると、
どうしても経営者とか、事業責任者とか、
「決める人」にスポットライトが当たりがちです。

でも、当たり前ですが
どんな立派な戦略を立てようが、
実行が甘ければ絵に書いた餅になります。

実際のビジネスの現場では
この「立派な餅を描くところ」まではギリギリ行けても
兎にも角にも実行が弱い組織が多いと感じています。


そして、さらにこの手の話が難しい所は
実行が弱い組織はじゃあ皆がサボっているのか?というと、そうでも無い。

ちゃんと、みんな自分なりには努力して、
きちんと決めたKPIを報告してPDCA回して・・って
ある程度はやってるんです。
(逆に言えば、とことんサボり尽くしている会社も見たコト無い)

この「自分なりに」って部分と、
「決めたKPIを報告して」って部分が実はやっかいで、

それぞれのメンバーが「自分なり」に努力している組織は
例外無く弱いです。

強い組織は「自分なり」に頑張らせるのではなくて
組織が求める「基準」に沿って頑張らせる必要があります。

受験で言えば、
自分なりに「1日数時間、気が向いたら勉強をする」のではなく
進学塾で言えば「1日8時間を基準勉学として強要する」といった具合に。

そして、本来KPI管理も同じ。

徹底的にやりきって出て来た数値こそが必要。
実行が弱いKPIは、ミスリーディングするだけで意味がない。

「100人の女子をナンパしたら、何人とLINE交換できるか?」を計る際に
適当モードで声をかけた100人と、
本気で声をかけた100人で、結果は異なる。

その中途半端な状態のKPIをクルクル回しても
単に数字遊びしているだけで、実は事業は前に進んでいない。

さらにやっかいなのが
「自分なり」に頑張って
「KPIをPDCA」している組織と個人には罪悪感がない

良かれと思ってやっている分、
ココが厄介な落とし穴だったりします。

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じゃあ逆に、強い組織はどうか?

上に書いた
「基準」を自分の行動によって底上げし、
PDCAを全力で回して事業推進を実現する
「実行力」を引き上げる隠れたキーマン
が存在します。

僕が在籍した古巣の会社では、
この隠れキーマンの存在を「ゼロワン」と呼んでいました。
(今もゼロワンって使うのかな?)

ゼロワンは
事業部長やマネージャーと言った肩書きのつく「役職」ではなく、
あくまで組織における「役割」なので、外から見ていて目立ちません。

この陰のキーマンとも呼ぶべき存在について
その役割定義を言語化します。

※ちなみにLiBではもう少し分かりやすく
この存在を「チームリーダー」という名称で呼んでいます。
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「ゼロワンの役割とは何か?」

それは、実行側のリーダーとして
以下3つの役割を全うする存在の事を指します。

①率先垂範による成果創出によって、戦略の正当性を証明する存在

ゼロワンは「決めるコトに責任を持つ人」ではありません。
あくまで「実行」に責任を持つ人です。

よって、戦略立案に意見を出したりと貢献こそあれ、
大前提は「戦略立案には関わらない人」です。

では、どこにこだわるのか?
それは、

役員やマネジャーが打ち立てた戦略を
自らが率先垂範し成果創出する事によって、戦略の正当性を証明する存在

これに尽きます。

戦略が立案された背景を誰よりも理解し、
不確定要素や、曖昧な部分があったとしても
四の五の言わずに誰よりも強力な率先垂範によってチームを引っ張る存在。

そして、率先垂範による成果創出によって
戦略の正当性を数値で証明してみせる存在。
(ほら!この戦略で成果でるでしょ!みたいな)

この存在は、戦略を決めるマネージャーにとって
最強のパートナーとなります。


②率先垂範によって体得した技術/ノウハウをチームに還元し、
組織全体の「基準」を引き上げる存在

誰よりも迅速かつ強力に戦略を率先垂範する事によって
ゼロワンは多くの場合「チームNo1プレイヤー」になります。

その率先垂範によってNo1プレイヤーとなり
体得した技術/ノウハウを自分だけのモノとせずに、
組織全体の「基準」とする事でチームの底上げに貢献する。

そして、自分が体得した知識/経験を整理し、
他人に教える事でゼロワン自身も成長する。

このサイクルを生み出す事が
ゼロワンにとって2つ目の役割です。


③チームにおける「関係性の質」を向上させる存在

自分の発言や行動、相手への関わり方によって、
チームにおける

・自分とメンバーの関係性
・メンバー同士の関係性
・先輩と後輩の関係性
・上司と部下の関係性

といった様々な関係性の質を向上させるのもゼロワンの役割です。

要するに、
まずは自分自身がチームメンバーの事を深く理解し、
さらに、メンバー同士が互いに理解し合う場や会話を発生させ、
互いの絆を深める役割を担う存在
です。

優秀なゼロワンが居るチームは
チームの絆や一枚岩感がグッと引き上がります。

自身による率先垂範と成果創出によって
メンバーからのリスペクト(関係性の質)が無いゼロワンは

「何でもMgrの言うことハイハイ聞きやがって、お前は犬か!」
みたいになるのですが、

関係性の質を担保できているゼロワンは
チームを力強く引っ張る事ができます。

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以上、①〜③についてゼロワンの役割を書きましたが、
分かりやすいように例を書くと
理想とするゼロワンが存在するチーム以下のような感じです。

意思決定者「コレでいくぞ!」

ゼロワン「グダグダ言わずにやるといったらやるんだ!行くぞ!」

まずは自分が率先垂範

メンバー「よっしゃ、負けないようについていくぞ!」
(関係性の質 & 成果によるゼロワンへのリスペクト)

結果、本気のKPIが見えてくる

PDCA

戦略転換、事業推進

アホみたいに単純化した流れですがw
実際にこんな感じの事が起きます。

このような、桁外れの実行力を組織にもたらす
実行側のリーダー = ゼロワン」が居るか居ないか、が
多くの組織にとって、運命の分かれ道だと思っています。

強いゼロワンがいるチームは、
強いマネージャーが居るチームより、強かったりします。


ちなみに、ゼロワン設置を検討されたい方向けに
コツも書いておくと、

ゼロワンは戦略立案に関わらない分、
限定したミッションに集中する事を可能した点が運営の鍵です。
(集中するミッションというのが上記①〜③です)

要するに①〜③以外の役割を振らない事で
「邪魔しない、よそ見させない」というのが大事です。

このミッションを限定的に「行動」にフォーカスした存在こそが
ゼロワンというポジションの巧みさであり、存在価値なのです。


逆にダメな組織は
ゼロワンのような役割を全うする存在がおらず、
どのポジションのメンバーも
中途半端に「考えるコトにこだわっている」状態です。
(考える方が実行するより偉い/関わりたい、と思っている)

LiBのチームリーダーたちにも
自分たちの率先垂範によってチームを勝利に導くような
力強い存在になってくれる事を期待しています。